車齢が13年を超えるといたるところの部品が劣化します。なぜ13年かといわれると明確な根拠はありません。しかし、車検で入庫されるお客様のうち、重量税の重課税制度が導入される“初年度登録から13年経過車両”の多くが経年劣化による部品交換が発生していることを考えると、自動車部品の寿命はおよそ13年程度なのでしょう。
しかし、経年劣化はするものの、完全に破損しないのが日本車の凄いところ。特にブッシュ回りなどはひび割れ、機能低下こそすれども、ゴムがちぎれるような破損は稀です。
とはいえ、劣化したブッシュ類をそのまま使っていると車からは微妙な違和感が伝わってきます。
今回はそんな違和感の原因となったあの部品の交換作業を紹介します。
事の発端はエンジンの震え
今回の車両も前回に引き続きZC11スイフト。この年式になってくると消耗品の交換に追われる方も少なくありません。今回のお客様もそのうちの一人。しかし、新車から乗られている愛着のある車だそうで、しっかり治してほしいと依頼を受けました。
まずは不具合チェックと問診をしたところ“時々エンジンが震える”とのこと。特にアイドリング時によく発生するそうです。よくよく話を伺うとエンジンが震えるタイミングはまちまちで、走行中には発生しないということでした。
エンジンの震えといえば様々な原因が浮かびますが、アイドリング中によくある事例としては“アイドリング時のエンジン回転数の低下”。
本来エンジンはピストンの上下運動により振動が大きくなるパーツです。そのため、一定の回転スピードを保つことで振動を打ち消し、バランスを保つように設計しています。
しかし、回転数が落ち込みすぎると振動を打ち消す力が弱くなり、エンジンは大きく振動します。走行距離も16万キロを超え、そろそろイグニッションコイルも怪しくなってくるところ。
点火系がキーポイントだろうと推測して作業を始めていきました。
意外と回転数は下がっていない
早速診断機を繋いでデータモニターを出力。アイドル回転数を見ていきます。(ちなみに私はタコメーターよりもデジタルが見やすいのでいつも診断機でチェックしています)
すると、ぴたりと800rpmで停止。正常範囲内で収まっているではありませんか。念のため、ISCの機能もチェックしましたが結果は良好。点火系にも異常はなさそうです。
しかし、800rpmを若干下回ると途端にエンジンの振動が大きくなる瞬間がありました。もしかしてこれは、例の部品が限界か?ということでさらに原因を究明していきます。
犯人はエンジンマウント
勘のいい方は既にお気づきかと思いますが、思った通り、エンジンマウントが一つ完全に死亡。他の2つもゴムのひび割れや劣化が見つかりました。
エンジンマウントは、エンジンを車体に取り付けるための重要な部品で、エンジンの振動を緩和してボディに伝わりにくくする役目をしています。
しかし、ブッシュの劣化により振動を吸収する力が無くなるとモロにエンジンの振動がボディに伝わり、エンジンの震えが気になるようになります。

マウントを交換して無事納車
犯人が分かったところでオーナー様へ事情を説明。承諾をいただいたところでエンジンマウントをすべて交換いたしました。
交換後の試走では嫌な振動はしっかり消え、振動に起因する異音も小さくなりました。オーナー様にも満足いただき、今回の作業は終了です。
エンジンマウントは中々交換しない部品ですが、負担も大きく劣化が大きい部品でもあります。
新車から10年以上経過していたり、なんだか車の震えが気になるようになったらエンジンマウントを交換してみてはいかがでしょうか?
