EDRとは
EDRとは、イベントデータレコーダーの頭文字を取った衝突データのことをいいます。EDRはエアバックコントロールモデュールの中に記録され、エアバックの展開信号が入るレベルの衝撃を感知すると、その前後の自動車の状態を保存します。
この技術は飛行機のブラックボックスに相当する機能を備えており、日本国内で販売される2022年7月以降の新車にはEDRの装着が義務となりました。
EDRに記録される内容は主に
- アクセル開度
- ブレーキ操作
- 速度
- 車体へかかる力の入力方向
- ステアリング角度
- 衝突時のクランキング回数
これらの情報に加えてエアバックの展開記録や、各種Gセンサーへの入力速度が記録され、EDRを使った解析レポートでは、それらのデータをもとに衝突時に車体の状況をシュミレートします。
EDRの呼び出しに使うCDR
しかし、EDRの読み出しには専用の機械が必要です。それがBOSCHから公開されているツール“CDR(クラッシュデータリトリーバル)”。
CDRはBOSCH公認の有資格者のみが使用できる特殊機械であり、各自動車メーカーから提供された開発データをもとにEDRデータを読み出します。
CDRによって抽出されたデータは事故の状況を客観的に分析する重要な証拠となり、交通事故における賠償紛争や過失割合を決定する根拠の一つとして大きな力を発揮します。
ドライブレコーダーには映らない証拠を記録する
ここで気になるのがドライブレコーダーの存在なのではないでしょうか。「ドライブレコーダーが搭載されている車に対してEDRは本当に必要なの？」このような疑問を持つ方も少なくないでしょう。
結論から言えば、EDRは裁判などではドライブレコーダーよりも重要な証拠データとして取り扱われる重要な証拠。ドライブレコーダー以上に必要です。
というのも本来ドライブレコーダーは運転状況を記録するためのツールであり、事故の過失や原因を決定づける証拠とはなりません。
もちろん参考資料とはなりますが、ドライブレコーダーの映像のみで、過失割合が大きく変動することはほぼないと考えていいでしょう。
ドライブレコーダーでは事故当時のドライバーの運転状況などは分かりませんからね。
EDRではこのようにドライブレコーダーには映らない証拠を記録し、改ざんが難しいという性質から事故の原因追及や過失割合の決定に大きな力になります。
ドライブレコーダーとEDRの双方から分析することで正確な事故の状況を把握することができるのです。