こんにちは、チャレンジコネクション代表の細田です。今回はEDRによる事故調査の流れをご紹介します。
EDRデータの有用なのか?
この記事を読んでいただいている方の多くはもしかしたら実際に交通事故にあわれて損害の過失割合で揉めてしまっている。という方ではないでしょうか。
そんな方の多くの疑問が“EDRって役に立つの?”という疑問かと思います。結論から言えばEDRは交通事故の調査において非常に有用です。
衝突時の、速度・各種センサーの作動状況・ハンドル操作の有無・ブレーキ操作の状況。これらのデータがすべて改ざん不可能なデータとして出力されるので裁判などになる状況証拠としては十分な資料となります。
とはいえ、まだまだEDRを用いた調査は新しい技術のため狙ったデータが出ないことも事実です。今回の事例がまさにそのケースと合致する内容となってしまいましたが、有益な情報も得られたためにご紹介していきます。
まずは画像を撮影し破損状況を確認
調査はまず破損状況の確認から行います。今回の車両は左後方からの追突事故の調査です。
この様にまずは車両の破損状態を記録し、出力されたデータとの整合性を確認するところから始めます。
データの出力
破損状況を一通り確認し、画像を撮影したら、いよいよデータの抽出です。
データの出力時間は車両にもよりますが、概ね5分ほど。最新の電子制御車両になるほど解析項目が増えるので作業時間が長くなってしまいますが、今回の車両は数分で完了しました。
結果は残念ながら“記録なし”
今回のデータを解析したところ、残念ながら有用なデータは得られませんでした。その原因として考えられるのは次の2点。
- 後部に衝突感知のセンサーが無かった
- 衝撃が小さく、認識できなかった
調べたところ、今回調査した車両には後部に衝突感知のセンサーが無いことが判明。そのため追突データの記録がされなかったようです。(衝撃が大きかった場合前方のセンサーで衝撃感知をするかもしれません)
最新の車には後方にもセンサーを搭載
今回の車両に関しては車両後部にセンサーはなかったものの、近年の電子制御車両には多くのセンサーが付いています。
そのため、モデルによっては軽微な追突事故であっても記録データが残る場合もあり、まずはデータの抜き出し作業を行うことが重要です。
記録データは得られないものの、EDRデータを出力できる環境にあるという証拠にはなる
今回のケースでは残念ながらEDRデータの衝突記録はありませんでしたが、“EDR調査を行った事実”を証明する記録レポートは出力ができます。
これは、交渉先の保険会社に対して“EDRデータの出力環境が整っているぞ”という意思表示ができるわけですね。
実はEDRデータを抽出するための機械はまだそれほど日本国内に流通していません。所持している団体の大半は警察、法務関係者、一部の大手保険会社です。
そのような背景もあり、恐らく保険会社も個人がEDRデータを取れる環境にあるとは思っていないでしょう。こうなると相手先の保険会社だけがEDRデータという有利な情報を握れる環境にはなくなり、交渉の足掛かりになる可能性があります。
もちろん100%EDRデータだけで事故の過失交渉の材料にできるわけではありませんが、調停に役立つ資料になる可能性は十分にあります。(自己相手のEDRデータの出力を求めた交渉などが有効かもしれません)
今現在、交通事故の過失割合で交渉が難航している方は是非EDRデータの活用を検討してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、事故解決の糸口になるかもしれませんよ。